税務ひと口メモ vol.1

  簿記・会計・税務について、わかりやすくお話します。
  以下は、顧問先様宛に毎月送付している「事務所便り」よりの引用です。
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企業会計と税務会計の乖離                             2002.5.7
企業会計と税務会計の乖離が叫ばれて数年が経ちます。
所謂、時価会計にまい進する企業会計と、取得原価主義から離れられない税務会計。
短期売買目的の有価証券の評価については、一致しているもののその他の取り扱いは
税効果会計という渡し舟はあるものの、まだまだお互いに背を向けたままである。
今後も「減損会計」が実施されようとしていますが、税務上の取り扱いは変わらないようで
す。
問題は、企業会計は法律ではない事。一方税務は法律であり強制される事。
また、企業会計は所謂株式の公開会社にその実施を求めていること、反対から言えば
非公開会社にはその必要性がなかなか認めにくい事があると思います。
とは言っても時代はどんどん進んで行きます。グロ−バル化と情報公開の波は中小企業
や非公開会社にも押し寄せ、大きな影響を与えてゆく事と思います。
各々の会社の会計処理も銀行と税務署だけではなく第三者に公開しうるものにしなくては
いけないでしょう。勿論その前提となるものは経営成績です。見せ掛けではいけません。
新しい時代に生き残れるように頑張りましょう。                           
 

簿記会計 その1                                    2002.6.1

前回は企業会計と税務会計の乖離について述べましたが、そもそも会計や税務というものは、何の為に存在するのでしょうか。
複雑化、ソフト化する社会で、ある人(団体)は、事業を起こし、ある人はそこで働き、またある人は投資をするといった役割を担っています。
つまりそれらの行動によってそれぞれがそれぞれの幸福を追求しようとしているのです。
幸福追求のために会計や税務が存在する、と私は思います。
その意味において、現在の日本の『何でもあり』の状況は悲しい事です。
ある上場会社の社長さんが数年前、会社は赤字が出たから潰れるのではない、
資金が回らなくなるから潰れるのだと公言していましたが、今その会社は金融機関に対して、債務免除を求めています。
前置きはさておき、これからシリーズで、
@簿記会計、A法人税、B所得税、C消費税及び地方消費税、D相続税、Eその他の租税、に分けて、お話をしていきたいと思います。
一回目は、簿記会計のその1です。紙面が無くなりましたので問題だけ出しておきます。
1年間事業をして、預金が、1億円から3億円に増えていました、
さてこの会社は儲かっているのでしょうか。 

簿記会計 その2                               2002.7.4  

前回の答えは見つかったでしょうか、あまりに簡単すぎて考えたくもないよ、と言われそうですね。
そうです、預金が1億円から3億円に増えていたからといって、儲かっているかどうかなんて判断できるはずがないのです。その為に決算書と言うものがあるのです。
前回登場頂いた上場会社の社長さんは、そんな事はどうでもいい、金さえ回ればいいのだといっているのと同じなのです。
さて、会社が儲かっているのか、損を出しているのかどうか、その判断をするものは、一言でいって、5つの要素しかありません。
資産 負債 資本 収益 費用 の5つです。そしてすべての取引はこれらの組み合わせ
によって処理され、決算書に表現されます。
複式簿記は人間が考え出した素晴らしいシステムです。
ただ社会が複雑になり、信用が創造され、無形の財産が増大した為会計も複雑になり、その結果として、決算書も複雑かつ不透明になりました。
最も透明で信頼の置ける会計だと言われていたアメリカの会計制度が今揺らいでいます。信用が置けないと批判されています。
私たちは如何すべきでしょうか。答えは簡単です。
簿記には、正規の簿記の原則があり、安全性の原則があるのです。基本に立ち返り処理すれば良いのです。
上手い話など、どこにもないのです。
          

簿記会計 その3 取引の8要素                     2002.8.1  

前回会社の経営状況を見るのには、資産 負債 資本 収益 費用 の5つの要素がある
と述べましたが、もう少し細かく、分析をして見ます。
資産 負債 資本についてそれらの増加と減少に分けてみます。
     借方             貸方
  (1)資産の増加        (2)資産の減少
  (3)負債の減少        (4)負債の増加
  (5)資本の減少        (6)資本の増加
  (7)費用の発生        (8)収益の発生
簿記会計の目的は、すべての取引を正確に記録し、株主や利害関係者に報告する事。
そして今後の経営の指標となることです。
さて、すべての取引は上記の8要素の借方と貸方の組み合わせにより成立しています。
すなわち 4×4の16通りがすべてです。他にはありません。
そこで問題です。
当社に、顧客であるA社から510万円の振込みがありました。
この取引は、上記の借方、貸方のどの組み合わせに当てはまるでしょうか。
答え@ 売掛金の入金だから (1)と(2)の組み合わせに決まっているよ・・・。
それで良いでしょうか? 他に答えが無いか次回まで考えましょう。
                   

簿記会計 その4 取引の8要素                     2002.9.2  

さて前回、顧客であるA社から510万円の振込みがあり、その取引が借方、貸方どの様な
仕訳が考えられるかの問題を出しましたが、答えは出たでしょうか。
振込みがあったのだから、借方は預金(1)資産の増加でよいでしょう。
問題は貸方です、前回の答えのように売掛金の回収なら(2)資産の減少で正解です。
でももしその日の売上に対する入金なら(8)収益の発生が正解です。
また、何らかの事情でA社から融資を受けたのなら借入金(4)負債の増加です。
もっと推測すれば当社からの増資の要請を受けての振込みなら(6)資本の増加が正解となります。(この場合細かい登記上の問題は省いています。)
さてこのように、A社から振込があった事による仕訳が、4つも考えられるのです。
事実(預金への振込)が在るからと言って推測で仕訳をしてはいけません。
それぞれの仕訳をするには、その根拠が必要です。
たとえば、納品書、売掛金台帳、金銭消費貸借契約書、株式申込書等です。これらの根拠となる書類を確認しながら仕訳をし、会計帳簿を作成してゆく。
これが簿記(BOOK KEEPING)の基本であり、すべてと言って過言ではないでしょう。
これで一応簿記会計を終わり、次回から、法人税法を勉強します。
なお疑問点はどんどん質問してください。
E−メールでもファックスでも電話でも何でもOKです。

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