税務ひと口メモ vol.7

  簿記・会計・税務について、わかりやすくお話します。
  以下の記事は、顧問先様宛に毎月送付している「事務所便り」よりの引用です。
   税制改正に関する話題の続きで、主に特殊支配同族会社の役員給与の取り扱いについ 
  て、また電子申告についても述べています。

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情報基盤強化税制の創設                      2006・10・1

電子立国を目指して多くの改正がされますが、今年度創設されたものが表題の税制です。
(概略)
青色申告書を提出する法人(もちろん青色申告の個人にも適用はあります)が、平成18年4月1日から平成20年3月31日までの間に情報基盤強化設備等の取得をして、事業の用に供した場合には、その基準取得価格(取得価格の70%)の50%の特別償却と基準取得価格の10%の税額控除(税額の20%を限度)との選択適用ができるというものです。
また、一定の要件を満たすリース資産についても費用総額の42%相当額の10%について、同様の適用があります。

(対象設備の範囲)
対象設備は下記のもので、ISO/IEC 15408認証されたものに限られます。
@基本システム
 イ.サーバー用のOS
 ロ.サーバー用の電子計算機(イのOSが書き込まれたものに限る)
Aデータベース管理ソフトウエア
Bフャイアウォールソフトウエア(@Aと同時に設置するものに限る)

(対象設備の要件)
その法人の規模によって金額が異なりますが、資本金1億円以下の法人、協同組合等については、取得価格が300万円以上とされています。
詳細については、お尋ねください。

小額減価償却資産の損金算入                    2006・11・1

小額減価償却資産の損金算入については今まで多くの変遷があり、何時からどのような適用があるのか大変分かりにくい制度です。ここで整理をしておきましょう。

(1)小額減価償却資産・・・10万円未満
取得価額が10万円未満の小額減価償却資産は、取得して事業の用に供した時に損金経理することによって全額が損金に算入することが出来る。

(2)一括償却資産・・・20万円未満
取得価額が20万円未満の減価償却資産は、一括償却資産として3年間で3分の1ずつ損金に算入することが出来ます。この場合別表16−6に明細を記載し添付する必要があります。

(3)中小企業者の特例・・・30万円未満
中小企業者が平成20年3月31日までに30万円未満の減価償却資産を取得し事業に供した場合、その取得価額の全額が損金に算入されます。
ただし、価額の合計額が300万円を超える場合(1年間当たり)は、300万円までとされます。
なお300万円のカウントには上記(1)(2)の適用を受ける資産は含まれないこととされています。
この規定の適用を受ける場合にも、別表16−1に具体的な資産名等を記載する必要があります。 
                          

 特殊支配同族会社と従業員持株会                2006・12・1

今年も残すところ僅かとなりました。今年度はなんと言っても同族会社にとって大きな改定がこれでもかと言うくらいに有りました。これらの規定が実際に稼動してくるのは来年以降になります。制度を研究し、会社発展に結び付けなくてはいけません。

特殊支配同族会社の業務主宰役員に対する給与のうち給与所得控除相当部分が損金不算入とされる規定が出来た事はこの便り7月号で述べましたが、さて、そのような重課から逃れる方法はあるのでしょうか?
その時に述べましたが殆どの中小企業はこの規定の対象になると思われますが、その要件のうち、同族関係者の持ち株割合について、オーナー一族が株を第三者に手放し、90%未満にする事によって、この規定から逃れられる可能性があると思います。
もちろん、見せ掛けの譲渡ではいけませんし、議決権を手放さないようなものでも認められません。従業員持株会をつくって経営の改善を図っていくという実態があればいいのではないでしょうか。
いずれにしても決算内容を公開し、議決権を持ってもらう覚悟が必要です。
早いうちに決断し、対応して行かなくてはいけませんね。         

特殊支配同族会社の適用除外要件の見直し           2007・1・1

ここ数年年末には閣議決定などで中小企業には大変厳しい情報が発信され続けましたが、2006年末においては少しほっとするニュースがもたらされました。
表題の件については先月号でも取り上げましたが、「とんでもない税法」が出現しました。悪法と言え法は法ということでその対処法を模索しておりますが、この度自民党「平成19年度税制改正大綱」においてその内容の大幅見直しが決定されました。
特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度については、先月号でその持ち株割合が90%未満の会社についてはその適用が無い事を書きましたが、そのほかにも適用要件があります。1つは所謂常勤役員の半数以上が同族関係者以外であること。もう1つは基準所得金額が800万円以下(基準所得金額3000万円以下の場合は主宰役員給与が50%以下の場合)である場合です。この基準所得金額が1600万円に引き上げられる事になりました。
基準所得金額とは会社の所得(利益)と業務主宰役員(通常は社長)の報酬の合計額をいいます。
簡単な例を挙げると社長の年間報酬が800万円以上の会社にあっては会社利益がゼロであってもこの規定の重課が課される仕組みでしたが、今度の規定では会社利益がゼロの場合は報酬1600万円までは課されないと言う事になります。
しかしこの規定は平成19年4月1日開始事業年度から適用となります。18.4.1〜19.3.31の年度については800万円基準が適用される事になります。
慎重に判断しなくてはいけません。  

電子申告の概要                            2007・2・1

電子申告はインターネットを使い、申告書の提出、納税、各種申請書の届出などを行うものです。
先日、京都の舞妓はんが電子申告をやっている場面をテレビで放映していました。
「ほんま 便利やわあ〜」と言ったかどうかは知りませんが、今年からは大幅に使い勝手が良くなり普及して行く事になるでしょう。
今までは、申告者本人が電子証明書を取得し、当然税理士も電子証明書を取得し、両者が電子署名をしなければいけないシステムになっていました。
今年度からは税理士が申告依頼を受けて行う場合、納税者(依頼者)の電子署名及び電子証明書を不要とする制度が創設されました。
それでは税理士が関与する納税者すべてが電子申告できるのかと言えばそうではありません。
@納税者自身が「電子申告に係る利用者識別番号」の申請、取得をし。
Aインターネットが利用できるパソコンを用意する事、の2点が必要です。
また地方税においては上記の取り扱いが平成19年4月1日からとなっています。また電子申告が出来ない地方団体がまだかなり有り、時間が必要と思います。
やってみようかなと思う方はぜひご相談ください。

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