税務ひと口メモ vol.4

  簿記・会計・税務について、わかりやすくお話します。
  以下の記事は、顧問先様宛に毎月送付している「事務所便り」よりの引用で、
  vol.3の続きです。
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年末調整と確定申告                          2005・1・1

 新年明けましておめでとうございます。
今回は、年末調整と3月15日を期限とする確定申告の関係を簡単に説明しましょう。
そもそも日本の税制は、自主申告が建前です。その点から言うと個人は1年間の所得を
自分で計算をし、申告書を提出し納税しなくてはいけません。でも実際はどれだけの
人が自分の所得を計算し申告しているのでしょうか。
所謂サラリーマンは医療費控除や住宅ローン控除を受ける年度は確定申告をしますが、
通常は会社任せの年末調整で一年の所得が確定し、納税についても会社が源泉徴収制
度の枠組みとしていわば代行し済ませています。
ではサラリーマン以外の人(サラリーマンでも年末調整だけでは年税額の確定しない人
や、個人事業者、賃貸用のマンションを持っている人)はどうするのかといえば、先ほどの
原則に帰り自分で計算をし、確定申告をしなくてはいけません。
つまりどちらも個人の1年間の所得と納税額を確定させるための制度なのです。
ちなみに、やはりこの時期にしなくてはいけない法定調書、給与支払報告書の提出も
そのための制度の一つです。
くれぐれも間違いの無いように作成しなくてはいけませんね。
今年もよろしくお願い申し上げます。

自動車リサイクル料金の支払い                   2005・2・1

 今年1月1日から、自動車リサイクル法が施行された事はなんとなく知っていても、
実際にどのような仕組みで、いつ、誰が、いくら、負担(支払い)するのか知っています
か?
このリサイクル料金は、一般乗用車で1万円から1.5万円を新車購入時に支払い、資金管
理法人(リサイクル促進センター)がその資金を管理し、廃車となった時にリサイクル資金
として製造業者等に支払われる事になっているそうです。
また、現在所有する車については、平成17年1月1日以降最初の車検時に負担する事
が義務付けられています。その場合仮にその(リサイクル料金を負担した)車を転売した
場合には、次の所有者から負担したリサイクル料金が返還される仕組みになっているの
です。つまり、リサイクル料金はその車が廃車になるまでは、資金管理法人に対する預
託金なのです。
では、会社の会計処理はどうなるのでしょうか、
@新車購入時(中古車も同じ)   (預託金)資産 / (現金)
A転売して、返金があった時    (現金)    / (預託金)
B所有車が廃車になった時     (雑損失)   / (預託金)
以上のような仕訳が必要となります。会社としても「預託金」の管理が必要ですね。

最高裁で逆転判決!!                           2005・3・1

 今は亡き父親が生前100万円で手に入れたゴルフ会員権を貴方が20万円の名義変更
料を支払い相続したとします。そのゴルフ会員権をこの際200万円で売却するとしたら、
この譲渡にかかる所得はいくらになるでしょうか?
この度、最高裁判決でその譲渡所得は80万円{200万−(100万+20万)}で良いとされま
した。
それまで(1.2審では)その譲渡所得は課税当局の主張通り100万円(200万−100万)と
判断されていました。
その判断の分かれる部分は名義変更料の取り扱いです。
課税当局の主張の根拠は、所得税法60条1項です。簡単に述べますと「相続等により取
得した資産を譲渡したときは、その取得費はその相続等をした者が引き続きその資産を
所有していたものとみなす」と言う規定です。
実務家としては今までの取り扱いに疑問を持っていただけに、今度の最高裁判決には胸
のつかえがとれた気がします。
また裁判を起こされた納税者に敬意を表したいと思います。
税法は益々複雑になって行きます。法があるから仕方がないという面はありますが、
多くの人が疑問に思っている事は迅速に改定されるよう願うばかりです。

愛知万博(愛・地球博)に関する費用の取り扱い       2005・4・1

今世紀初の国際博覧会である愛知万博が3月25日に開幕しました。
このようなイベントがあった場合、企業が営業ツールとして得意先に入場券を贈呈し、ま
た、福利厚生の一環として利用する事はよくある事です。
そこで企業がその入場券などを購入した場合などの取り扱いが国税庁の通達で公表さ
れています。
それによりますと「法人が販売促進等の目的で当該入場券のみを取引先に交付する場
合においては、当該入場券の購入費用は交際費等に該当せず、販売促進費等として処
理する。」とされています。この万博入場券は通常4,600円と、一般的な入場券より割
高であるにもかかわらず、その全額が通常の経費とされます。但し取引先を万博に招待
するために支出する費用については交際費となります。
また、従業員の慰安会やレクリエーション等として博覧会を見学させる場合についても
明記されています。この場合、入場券の購入費用と見学のために通常必要となる交通費
や宿泊費等についても、福利厚生費として処理することが出来ます。しかも従業員の家
族も含めて見学させる場合にも同様の取り扱いが認められます。
一度は行ってみたいですね。           

扶養親族の区分変更       2005・5・1

給与の支払い者にとって(勿論給与を受け取る側にとっても)その人からいくらの源泉所得税を徴収し、税務署に納めるかというのは大事な事務の一つです。
その徴収の基となるのは、本人から提出された「扶養控除申告書」です。その書類に記載された扶養親族の状況や老年者、障害者といった情報をもとに源泉税が決まる事になります。その「扶養控除申告書」ですが、毎年、その年の最初の給与支給日の前日までに(新入社員はその最初の支給日までに)会社に出す事となっています。
さて結婚をした、子供が生まれたといった時には扶養家族の変更があると思われますが、それ以外にも子供が就職した、16歳になった、扶養している親と同居あるいは別居する事になった等といったときにも扶養親族の区分変更が必要になる場合があります。
そういった場合には、年初に提出してある「扶養控除申告書」はそれとして、もう一度提出してもらう事になります。
そういえばこの書類、よく見れば「扶養控除等(異動)申告書」となっていますね。
異動があるたびに会社に提出してもらい、その月から源泉所得税が変更になるのです。
情報の書き換えは正確にかつ素早くやりましょう。

人材投資促進税制の創設                      2005・6・1

今年度の税制改定での大きな目玉商品となっているのが表題の「人材投資促進税制」
の創設です。その言葉どおり、人材を育成する企業を応援する制度です。
制度の仕組みは、企業が教育訓練費を前2事業年度の平均値(基準値)より増加させた場合、その増加額の25%相当額を当期の法人税から税額控除(10%が限度)出来るというものです。当然個人事業者にもその適用が認められますが、法人個人ともに青色申告が条件となります。また中小企業には一定の場合その税額控除が大幅に増額される恩典もあります。
さて教育訓練費とは、「使用人に対して行う教育、訓練、研修、講習その他これらに類するもの」とされており、次の4項目が挙げられています。
@教育訓練等を自ら行う場合の費用・・・講師に対する報酬、謝金など
A委託を受けた他のものが教育訓練を行う場合・・・委託先への支払い費用
B使用人を他のものが行う教育訓練に参加させる場合・・・授業料など
C教科書、教材の購入費用・・・それらの費用
この制度の適用を受ける為には、教育訓練の実施年月日、内容、参加者の氏名などを
確定申告書に記載、添付しなければなりません。
なお、この制度はあくまで使用人に対する教育訓練が適用されるのであり、取締役など役員は勿論、使用人でも同族関係者は対象外になります。注意が必要です。

新会社法で有限会社が無くなる!?             2005・7・1
              
商法の改正が長期にわたり繰り返されてきましたが、新しい法律「会社法」が、平成17年6月29日参議院で可決され、来年18年中には施行される事となりました。
新会社法では会社に関する大規模な改正がされましたが、その一つに有限会社法が廃止されるというものがあります。有限会社の拠るべき法律が無くなるのですから、有限会社の存在そのものが否定される事になります。
では今までの有限会社はどうすればよいのでしょうか?
結論から述べると、有限会社は今まで通り活動する事が出来ます。但し無制限にそのままでよいのかというとそうではありません。その要旨は次のようになります。
まず、「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(以下「整備法」という)
により、現行有限会社に対する経過措置が定められています。
そのポイントは、@現行有限会社は整備法の定めるところにより新会社法の「株式会社」
(「特例有限会社」)として存続します。
A商号は「有限会社」の文字を使用します。
B「特例有限会社」は、原則として現行有限会社に準じた措置がなされます。
C今後「有限会社」から「株式会社」への商号変更を行う事により「特例有限会社」
から「新会社法」に定める株式会社に移行する事が出来ます。
言い換えれば、現行有限会社は存続できるが、法律的には「株式会社」である。そして存続している限りは、現行の法と同様の取り扱いが認められるということです。
                           

法定外税が増えてゆく                    2005・8・1
 
法定外税ってなに?
税の専門家である筈の税理士も即座にその内容と例示が答えられない税金があります
が、法定外税もその一つではないでしょうか。
法定外税とは地方税法において税率などが定められている住民税、固定資産税、たばこ
税など以外の税で地方自治体が独自にその条例によって定めた税金の事をいいます。
但しその導入には総務大臣の許可を得る事が必要です。
この税は、その使い道が限定されていない「法定外普通税」と使い道が限定されている
「法定外目的税」に分かれます。
法定外普通税の具体的な例示としては、青森県や福井県など13道県で導入されている
「核燃料税」や「核燃料物質等取扱税」があり。また神奈川県では「臨時特例企業税」が
導入されています。
また法定外目的税としては高知県などの「森林環境税」「おかやま森づくり税」、東京都の
「宿泊税」などがあります。
また市町村でも導入が進んでおり東京都豊島区の「狭小住戸集合住宅税」なるものや福
岡県太宰府市の「歴史と文化の環境税」などが施行されています。
これらの税が導入されていない地方自治体でも今後の導入に向けて検討委員会等で議
論が進められています。

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